大学生向け・電子軌道を分かりやすく
閲覧ありがとうございます。
爺さんです。
この記事を読めば
・s軌道やp軌道とは何者か?
・「スピン」とは何か?
・「sp3混成軌道」とは何か?
といった疑問を解決することができます。
Contents
復習しよう(電子殻の構造)
早速ですが、本記事を読むにあたって
最低限必要な知識を確認しておきましょう。
高校ではこういう事を習いました。
大学で習う「電子軌道」では
この知識をもう少し深堀りしていくイメージになります。
基礎をつかもう
基礎① s軌道やp軌道って何者?
結論から言うと、
電子が存在しやすい領域の一つをs軌道やp軌道と言います。
例えば、K殻の電子は「1s軌道」という領域に電子がいやすいです。
L殻の電子は「2s軌道」もしくは「2p軌道」という軌道にいやすいです。
M殻の電子は「3s軌道」もしくは「3p軌道」もしくは「3d軌道」という軌道に存在しやすいです。
ちなみに、軌道の名前についている数字nは主量子数と言います。
K殻はn=1、L殻はn=2、M殻はn=3です。
この周期表 (Japanese Periodic Table)を見れば
全元素の電子軌道を見ることができます。
電子はこれらの軌道のうち、
エネルギーの低い軌道から順番に入っていきます。
1s<2s<2p<3s<3p<4s<3d<4p
試しに、Liの電子軌道を考えてみましょう。
つまり、Liの電子は
「1s軌道に2個、2s軌道に1個」存在する確率が高い
ということになります。
基本的な考え方は以上です。
次の小節に移る前に、もう一度周期表 (Japanese Periodic Table)
をチラッと見ておいてください。
見るポイントは上下の矢印↑↓です。
基礎② 「スピン」って何?
電子のスピンとは、電子の自転のことです。
実は電子というものは
地球と同じように自転しています。
先ほど見てもらった上下の矢印↑↓は
二つの電子のスピンの向きが逆向きであることを示しています。
基礎③ 電子軌道の2つの法則
必ず覚えないといけない法則を簡単に説明します。
2つの法則とは、
・パウリの排他原理
・フントの規則
です。
ここで、超重要な補足説明をします(もはや補足ではない)
p軌道は一つではありません。
どういうことかというと、
s軌道は1つの球形の軌道なのに対して
p軌道は方向の異なる、3つのアレイ型軌道からなっている
ということです。
一つの軌道に2つの電子が入れるので、
s軌道:2個×1軌道=2個入れる
p軌道:2個×3軌道=6個入れる
ということになります。
だから、s軌道とp軌道から成るL殻には
2+6=8個の電子を入れることができるというわけです。
ただし、「一つの軌道に電子を2つ入れたいならスピンは逆にしなさい」
と言っているのが「パウリの排他原理」
「p軌道みたいに複数の軌道を持っているところに電子を入れるなら、とりあえず同じ向きで一つずつ入れなさい」
と言っているのが「フントの規則」
になります。
イメージできない!という人は
周期表 (Japanese Periodic Table)で「原子軌道」をクリック。
パウリの排他原理→「Li→Be」あたりを見よ!
フントの規則→「B→C→N→O」あたりを見よ!
例外を知ろう
化学に例外は付き物。
電子軌道の世界にも、パウリの排他原理やフントの規則に沿わない
現象が存在します。
例外① 炭素Cの電子軌道ーsp3混成軌道
炭素は場合によっては例外的な電子配置を取ります。
再度周期表 (Japanese Periodic Table)を見てみましょう。
炭素の電子は1s軌道に2つ、2s軌道に2つ、2つの2p軌道に1つずつ入っています。
これはきちんと規則に沿った、期待される結果です。
しかし、原子の結合力が増すときなど、場合によっては
炭素の電子は1s軌道に2つ、2s軌道に1つ、3つの2p軌道に1つずつ入ります。
つまり、低エネルギーの2s軌道の電子が1つ、高エネルギーの2p軌道に移動するわけです。
本来は混ざりあうはずのない、1つのs軌道電子と3つのp軌道電子が混ざりあってできた軌道なので
「sp3混成軌道」と言います。
炭素の他にも、ケイ素Siなどでも見られます。
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